法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、相続手続きに必要な戸籍謄本や除籍謄本、住民票の除票などを一括で法務局へ提出し、「法定相続情報一覧図」の写し(交付書)を取得することで、相続登記や銀行手続き、保険金請求などの各種手続き先へ同じ一覧図を提出するだけで相続関係を証明できる仕組みです。申請にあたっては、以下のように必要書類の取得が前提となります。

被相続人の戸籍謄本および除籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
相続人全員の戸籍謄本
被相続人の住民票の除票(最後に住民登録があった住所が記載されたもの)
相続人全員の個人番号カード(マイナンバーカード)のコピー、または運転免許証やパスポートのコピー これらを法務局に提出し、相続人の氏名・続柄・持分割合などを一覧図形式でまとめた「法定相続情報一覧図」を作成・提出すると、法務局長の証明印が押された写しを受け取ることができます。

法定相続情報証明制度のメリット

主なメリットは以下のとおりです。

複数機関への同じ戸籍類提出が不要になる

通常、相続登記や預貯金・株式の名義変更、保険金請求などでは、それぞれの手続き先に戸籍謄本や除籍謄本など原本・写しを何度も提出する必要があります。しかし、法定相続情報一覧図の写しを取得していれば、各機関はその写しをもとに相続関係を確認できるため、都度戸籍を用意する手間や費用を削減できます。

追加交付は原則無料で何度でも可能

一覧図の写しを一度交付してもらえば、同一内容であれば何枚でも追加交付を請求でき、追加手数料は原則かかりません(各地の法務局で細かい運用差はありますが、多くの支局・出張所でも無料交付を明示しています)。複数の手続き先で必要枚数が増えても、コストを気にせず申請できます。

手続きの時間とコストを大幅に削減

戸籍謄本を役所に何度も取りに行き、コピーを準備する従来の方法と比べ、一括申請→一覧図写し取得で済むため、各種手続きの所要時間を短縮できるだけでなく、戸籍の取り寄せ手数料や郵送費用などの削減にもつながります。

書類不備や申請ミスによるトラブルを低減

一覧図には相続人全員の氏名・続柄・持分割合が法務局で証明されるため、手続き先ごとに「相続関係を改めて確認する」という煩雑さがなくなります。その結果、申請先での差し戻しや再提出のリスクが減り、手続き全体をスムーズに進められます。

相続人・手続先双方の安心感を確保

交付された一覧図の写しには法務局長の証明印が押印されているため、相続人間や金融機関・役所など手続き先に「公式に認められた相続関係」として提示でき、信頼性が向上します。これにより、相続トラブルの予防や問い合わせの手間も軽減されます。

以上のように、法定相続情報証明制度を活用するには初期段階で戸籍謄本類など必要書類を揃える手間がかかりますが、一度一覧図の写しを取得すれば、その後の相続登記や各種手続きにおいて大きな手間・費用・リスクの削減が期待できます。相続手続きを効率化し、必要書類の提